婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
「どうしてって… なつは何が言いたいの?」
真剣な表情で私を見つめる圭司に、言うべきか迷ったけれど…。
やっぱり ちゃんと話した方がいいよね…
「圭司が私をそんなに心配してくれるのは、私の過去を、何か思い出したからなんでしょ? 美優から聞いちゃった…」
「そっか 浩太もお喋りだな… 黙っててごめん 帰ったら、ちゃんと話すよ…。」
そう言って、圭司は再び私の手を取り歩き出した。
ー・ー・ー
「なつ ここ おいで…」
リビングに腰かけた圭司は、手でポンポンとソファーを叩いた。
「うん。」
私は、圭司の隣にそっと腰をおろした。
「あのさ なつ…」
「うん。」
「嫌なこと思い出させちゃうかもしれないけど俺が思い出したのは、この男のことだよ…」
そう言って、圭司が手帳から出したのは、父が主催のパーティーで撮った、私と春君のツーショット写真だった。
「まあ 思い出したって言っても、ほんの少しの記憶だけなんだけど…」
やっぱりそうだったんだ…
圭司は春君の事件のことを…
「それさ なつの実家を片しに行った時に、本の間に挟まってたんだよ。あの日 俺途中で具合悪くなっただろ? ホントはこれが原因…」
「そっか…。」
私の実家は、近々リフォームして人に貸すこになっていた為、私達はハワイにいる両親の代わりに荷物を片付けに行っていた。確かに、前回行った時、圭司は急に顔色を悪くして、少し休ませてと言ってきた。
でも すぐに元気になったので、あまり 気にしていなかったけれど、まさか 春君の写真が原因だったとは考えもしなかった。
「この男の写真を見た瞬間… なつがベッドに縛り付けられてる光景が浮かんできたんだよ
でも それ以上は酷い頭痛とめまいのせいで思い出せなかったけど…。こいつはなつのストーカーだよな? その部屋の壁一面に、なつの写真が貼り付けられていたから…」
圭司の声は微かに震えていた。
「うん そう この人、幼なじみだったんだけど、幼い頃にした結婚の約束を守れって、私を監禁したの… 逃げ出さないようにって、下着姿でベッドに縛られて… あっ でもね すぐに圭司が助けにきてくれて、それ以上は何もされてないから…。警察に逮捕されてるし、もう大丈夫…。」
なるべく明るく話したつもりだけど、圭司は顔を歪ませた。
「そっか…ごめんな 嫌なこと思い出させたよな…」
「ううん 私こそごめんね 圭司には隠すつもりはなかったんだけど、なんとなく 言うタイミングもなくて…」
「いや、こんなこと誰だって言いたくないよな
あっ 浩太にはさ、知らないみたいだったから、詳しくは言ってないよ。 それより ごめんな ちゃんと守ってあげれなくて…。やっぱり 俺 記憶を取り戻すよ…。なつの受けた苦しみを、一緒に背負っていきたいから…」
そう言って、圭司は何度も謝ってきた。