キミのために。

『さて…職員室行かな…』
校舎に入ろうとした、その時。

桜が風に吹かれて、舞った。
桜の花びらが舞う、その中に１人の女の子に、目がいった。

ストレートの黒髪で、目が大きい。

小顔で、体型も小さい。

『キミ、名前なに？』
思わず、そう聞いてしまった。

そう言うと、女の子はﾆｺｯっと微笑み、傍にある桜をさした。

『…桜？』
そう問いかけると、桜はまたﾆｺｯっと微笑み、ｺｸｯっと頷く。

すると、桜は大きい瞳で俺を見て、まるで
『貴方の名前は？』
と問いかけるように、また優しく微笑んだ。

『俺は…蒼だよ』
そう言うとまた桜は微笑んだ。


桜の態度を見て、俺は１つの疑問がうまれた。


…桜って子…
何で話さねぇの？