bride
それから支度を済ませ、車に乗り込む。おばあちゃんの送り迎えは、明仁のご両親・・・ううん、お父さんとお母さんに任せてある。今では三人もすっかり仲良しだ。
式場に着き、花嫁支度。
おばあちゃんは、私のドレス姿を見て、泣いて喜んでくれた。私も泣きそうになったけど、明仁に化粧崩れるぞ、と言われて必死に我慢した。
親族へのお披露目も済み、新婦の控室に戻ってきた。式の時間は刻々と迫ってくる。明仁は新郎の控室には戻らず、もうちょい居るわ、と私のそばに居てくれた。これも、私がそうしてほしいと願ったからなのだろうか。
「ねぇ、明仁」
「ん、」
「まだ言ってくれてないけど」
「・・・なにを」
「約束、したよ。今朝」
「・・・」
「・・・」
「・・あーもう、分かったよ」
「・・・」
「都、めちゃめちゃ綺麗。」
「ふふ、ありがとう。明仁もすごくかっこいい。」
真っ赤になる明仁を鏡越しに見ながら、幸せだな、と素直に思った。私たちにつられて微笑む式場スタッフの方に見守られながら、おばあちゃんの手でベールが下ろされる。
天国のお父さんとお母さん、私に、素敵な運命を、ありがとう。これからも私たちを、おばあちゃんを、お父さんとお母さんを、見守っていてください。二人が今ここに居ないのは辛いし、寂しい。でも、私はきっと幸せになるから、大丈夫。心配しないで。
天国のお父さんとお母さん、私は今日、お嫁に行きます。
end