溺愛レンズ
「写真?」
「うん、部活で使う写真のファイル」
佐伯は私にそう聞きながら再び教室へと入ってくると、私が立っている横の机によりかかる。
「それヤバイやつだな」
「うん、ヤバイやつ」
「うーん」とどこか考えるようにして腕を組む彼、その顔をこんな近くでマジマジと見るのは初めてで、モテるのをやたらと納得してしまう。
しかもヤンチャそうに見て実は優しいとかそりゃモテるわ。
「いつからねぇの?」
「あ、多分昨日学校出る時にはあったと思う…」
「帰りどっか寄った?」
帰り…何処か…
「あぁ!高台の公園だ!!」
あんなにも衝撃的な事が起きたっていうのにすっかり忘れてた!
あの時急いでカバン取ったから落としたのかもしれない!!
「思い出した?」
「うん思い出した!ありがとう佐伯!行ってくる!」
「おー、良かったな」
慌てて教室の扉へと走り振り返りながら佐伯にお礼をいうと、佐伯は口角を上げて小さく笑った。