溺愛レンズ
彼の手に握られているのは、私が昨日落とした写真のファイル。
「昨日落ちてたから 拾った」
じゃあ昨日拾って、今日わざわざ届けてくれたってこと?
昨日の印象があまり良くないせいか、少し怯えていただけに申し訳ない気持ちになる。
「ん」
私の答えを聞き、持っていたファイルを私の前に差し出してくる彼。
「ありがとうございます…」
とりあえずファイルがあって安心したはずなのに、何故か私の緊張は解けなくて…思わずパチクリと未だ目の前の彼を見てしまう。
だって、こんなにも綺麗な男の人を見たことがない。
そしてきっと…
これから一生見ることも無い…
男らしい顔立ちなのに
何故か美しくて
そして可憐で
だけどどこか妖艶で。
魅力的で
魅惑的だった。