溺愛レンズ
写真
「アキラちゃーん!いけー!頑張れー!!」
首からカメラを下げ、体育館のギャラリーを乗り出すようにしてクラスメートと共にアキラちゃんにエールを送る。
今日は球技大会で、写真部は球技大会の参加よりも写真の記録係を毎年やることになっていて、
だけど今はアキラちゃんの出ているバスケの試合で、もうその撮影すらそっちのけで応援をしてしまっている。
「杉咲、すげー盛り上がってんね」
そういきなり聞こえてきたのは隣から。
「佐伯」
半袖に短パン姿の佐伯は、アキラちゃんと同じバスケ部員。
「だってアキラちゃん凄いカッコイイよ!」
「あぁ、あいつ上手いからな」
「佐伯はバスケ出ないの?バスケ部でしょ?」
確かさっきうちのクラスのバスケチームの試合の時佐伯は出ていなかった気がする…
首を傾げながらそう聞くと、佐伯は体育館下を見下ろしていた顔を私に向けてきた。
「男バスはバスケ出るの禁止なんだよ」
「そうなの?女子は良いのに男子はダメなんだ」
「女子はズルイよな」
「ははっ」と笑いながら手すりに頬杖をつく佐伯はやっぱりモテるようで、隣の女子がチラチラと佐伯の事を見ているのが嫌でもわかった。