溺愛レンズ



「うるさい音とか、騒がしい空気とか…時々忘れたくなる」




何故だかすごく分かる気がした。





誰も来なくて

静かで

普段見ているもの全てが遠い存在のように感じて…




それが何故だか無性に心地よかった。





「…わかります」




「……………」



「学校とか…家とか…街とか…それが遠くにあるのを見ると、少しホッとする時があるんです」




別に勉強が嫌いなわけじゃない、友達だってちゃんといる。




別に家にいずらいわけじゃない、お母さんは小さい時に病気で亡くなってしまったけど…それでも再婚した義理母とも上手くやってる。




街だってそうだ…ざわざわガヤガヤした所は苦手だけど、皆んなで行くカラオケやショッピング何かは好きだ。





だけど何故だろう。


時々ふとここに来たくなる。






ここから小さくなった町並みを見下ろしてはホッとしている自分がいる。





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