溺愛レンズ



「あ、有馬さん…」




短めな栗色の髪はいつも以上に丁寧にセットされ、そして男前で特徴的な切れ長な瞳はいつもより怒って見える…




「こんな所で何してんだよ」




「学校の野外学習で…」




いや、それは間違いなくこっちのセリフで…私だってまさか有馬さんがこんな所にいるなんて思ってもみなかった。




そんな私と有馬さんのやり取りを見ていたのか、三歩ほど先にいた男性が驚いたように私と有馬さんを交互に見つめると




「何だ、本当にカナデの知り合いだったのか」





その男性の言葉に、先ほども聞いた言葉が私の耳へと戻ってくる。




「カナデ…?」




この人はさっきも有馬さんをそう呼んでいた。それも絶対聞き間違いなんかじゃない。




二度も言ったんだ、間違いなはずがない。





カナデ…って

あのカナデの事なの?

さっきまで私達が探していた、あの有名なカナデの事なの…?




唖然と目の前の有馬さんを見上げると、やっぱり今日も恐ろしいほどの綺麗な表情に思わずゴクリと唾を飲み込む。




「有馬さんは…カナデなの…?」



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