溺愛レンズ
「え?」
「だから、キャンプファイヤーだって!今回のお泊まりの一大イベントじゃん」
「あ、そうだねキャンプファイヤーやるんだよね」
そう言えばそんな事やるんだったな。すっかり忘れてたけど…
「レイ反応薄いなぁ、毎年これでいっぱいカップルが誕生するんだよ?」
「そうなの?」
「そうだよ!告白イベントみたいなものだからねー。私もなんかの弾みでイケメンな彼氏でも出来ないかな」
「弾みって、アキラちゃんいつも彼氏欲しいとか言わないのに珍しい」
「こういう雰囲気の時だけ欲しくなるんだよね!そういうタイプなの」
自分達の学校のキャンプに戻ると、すでにキャンプファイヤーは始まっていて…女子だけで固まってるグループもあれば男子だけで固まっているグループもある。
それはやけに互いを意識しているようで、誰が誰に声をかけるのか伺っているんだろう。
すでに付き合っているカップルは仲睦まじく寄り添いあっている人たちもいる。
「まさに青春って感じ」
隣のアキラちゃんは何かを察したかのようにそう頷くと私の手をスッと離した。
「あの、杉崎さん。話しあるんだけどちょっと良いですか?」
そう聞こえてきたのは私の後ろから。
どうやらアキラちゃんは私よりも先にその人物に気が付いて手を離したみたいだった。