溺愛レンズ
「ほら、レイ行ってきな」
一体何がなんだか良く分からなくて、アキラちゃんに軽く背中を押されて一歩前へと出る。
振り返った先にいたのは、どこか少しだけ見覚えのある男の子。
えっと、確かサッカー部の……
だけど名前までは分からない。
「いきなりごめんね、驚いたよね」
「あ、大丈夫です」
話しって…何だろか。
私、この人と話した事ないよね
「あっちで話しても良いかな?」
「はい」
アキラちゃんに見送られ、前を歩く男の子に付いて行くと少しキャンプファイヤーからは離れた場所で彼はゆっくりと止まった。
「あの、俺C組の山瀬って言うんですけど。…ずっと杉崎さんの事可愛いなって思ってて」
少しだけ焼けた肌、筋肉の付いたスポーツマンらしい身体付き。それとは対照的に少しだけ照れたように染められた頬が赤みを帯びる。
彼は軽く間を開けた後、意を決したように私を真っ直ぐ見つめると
「ずっと好きでした。俺と付き合ってくれませんか」
熱を帯びた真剣な眼差し。
それと同時に私の胸の音がドンドンと加速していく。