溺愛レンズ
「お前、何撮ってんの」
そこまで近くない距離のはずなのに、それはやけに私へとクリアに届いてそして私の胸へと大きな音を立てた。
綺麗な顔とは似つかない、どこか不機嫌そうなかったるそうな低音ボイス。
声は凄く怒っているように聞こえるのに、その顔は何だか無表情で綺麗な顔が怖いほどだった。
「おい、聞いてんのか」
綺麗な彼は、ただ唖然と立ち尽くす私を座ったまま興味無さそうに見つめてくる。
「あ、ごめんなさい…け、消しますので!!」
「当たり前だ」
それだけ言うと、再び視線を私からもと見ていた場所へと移す。