溺愛レンズ
彼が一体何処を見ているのか凄く気になった。
ここの高台に来る人はほとんどいなくて、町を見渡す人なんかいなくて、自分の秘密基地みたいな気分だったから。
だから私以外の人がここに来て、一体何処をあんなにも見つめているのかが気になって仕方なかった。
しばらくまたボーっとしたまま彼を見つめてハッとする。
一体私は何分間彼を見つめていたのか。
それは数秒だったからもしない、だけどもしかしたら10分も20分も見つめていたのかもしれない…
思わず見つめていた視線を外す。
ヤバイヤバイ、いくら彼が綺麗だからって!
写真まで撮ってしかもこんなジーっと見つめてたらまるでストーカーじゃん!!
変態なのかと思われるじゃん!!!
焦るようにして握りしめていたカメラを首にかけると、そのまま勢いよく走り出してベンチに置いていたスクールバックを掴んだ。
私はその足を止める事なくこの公園の出入り口へと向かって走るけど、少し後ろを振り返った時、やっぱり彼はまだただ何処かをみつめているままだった。