溺愛レンズ
再開
「え!?嘘!無い!!」
「どうしたの?杉咲さん」
部室であきらかに焦ったように鞄をガサゴソと探り始める私に、顧問の秦野(ハタノ)先生が不思議そうに首をかしげる。
コンクール用に撮りためてた写真を入れたファイルが無い。どう考えても鞄に入ってない!!!
「先生、ちょっと教室行ってきます!!」
慌てて椅子から立ち上がると、そのあまりの勢いの良さに他の部員達が「レイは騒がしいなぁ」だとか「何ごとー?」なんて言いながら笑っている。
私はそれを背に教室へと一気に走り出した。
アレを無くしたら絶望的。だってあのファイルにはディスクも入ってるし、まだパソコンにも移してないのに…
教室に着き、一目散に机の中をあさるけれどやっぱりそこにもファイルは無くて
「ない…」
思わずうなだれるように床にしゃがみ込んだ。
「どうした」
いきなり頭上から降ってきた声、そんな声に思わずびくりと肩を揺らす。
そしてゆっくりと後ろへ振り返ると、そこにいたのはゆるりと着こなされたジャージ姿のクラスメイト
「佐伯…」