好きだと言って。[短篇]
机においておいたピンクの携帯が光る。
「あ…。」
ディスプレイには"修輔"。
お、お兄ちゃん!?
ぴくりと哲平が肩を揺らし、机の上に光る私の携帯へと目を移した。ハンバーグを片手に哲平の動きがピタリと止まった。
「ご、ごめん、ちょっと。」
そう言えば、今日遅くなるって電話入れてなかった!しかも、今日お父さん早帰りじゃなかったっけ!?
私は慌てて携帯を手に持つと、隣の寝室へと小走りにかけていった。
『あーけーみちゃん?今何時かなー?時計ちゃんと見えてますかー?』
「うっ…。ごめんなさいー。お、お父さんは?」
『…帰ってきてるけどフォローしといた。友達んとこ泊まるって。』
はぁーっと安堵のため息をつく私。
さすがお兄ちゃん。
気が利くじゃない。
「本当、感謝してるー!大好きっ」
『…んなこと言っても何もやんねーぞ。』
「分かってるって。」
呆れた声で小さく溜息をつくと「明日は帰れよ」とだけ言って、電話を切った。
本当、良かったー…。
お父さんにバレたら大変なことになってたもん。
携帯を握り締め、
はぁっと息を吐くと、後ろから声が聞こえた。
「おい。」