protect you〜守るべきもの〜




聞こえてきた名前に、思わず足を止める。


ジャリッと音を立てる、靴。


今……何て言った?



「あれ?どうかしたの、歩」



いつもなら気に障っているであろう、榊のわざとらしい言葉も耳に入らない。


俺の頭にあるのは、大きな疑問と驚愕。



「…う……して」


「え?」


「どうして…お前がアイツのこと……知ってんだよ」


「…さぁ?どうしてだろうね」



口角を上げながら、榊はポケットから携帯を取り出した。



「えっと……間宮泉里、享年13。某市内の某中学校校舎にて、屋上から転落し即死。遺書は残されておらず、事故だと考えられる…」



ずらずらと語られる過去の出来事に、体が熱くなる。


鼓動と呼吸が速まり、息苦しくなっていく。


何で、榊が……泉里を知ってんだよ…。



「集めた情報はこんなもんかな。どう?歩。
正しいかな?」


「…集めた、だ?」


「あ、ごめんね、勝手に詮索して。でも気になったから、調べてみたんだ。
……"間宮泉里"って、誰?」



『間宮泉里』──…


その名前を聞くだけで動悸がする。


落ち着け。

取り乱すな。


過去の記憶が蘇らないよう、必死で自分を抑えた。



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