protect you〜守るべきもの〜
銀髪は、一瞬驚いたような顔をした後、少し真面目な顔をした。
「歩...お前は、何に苦しんでるんだ?
何がお前を、そこまで……」
「分かったようなこと言ってんじゃねぇ!!
何も知らないだろ、お前らはッ...!!」
「知らねーよ?だから、教えてくれって言ってんだ。
お前が抱えてるものを、少しでも分けて欲しいから」
「...余計な、世話だっつの」
別に誰にも分かってもらわなくていい。
あの時のことを知って欲しいわけじゃないし、同情して欲しいわけでもない。
ただ……どうしても、思い出しちまう。
忘れたはずのアイツを。
「...帰る。どけ、銀髪」
「どかねぇ」
「は?どけよ!!」
「そんなに帰りてぇなら通ってみろよ!!」
イラッ...
マジで、ムカつく。
無性にイラつく。
イラついてたまらない。
「...さっさとどけ!!」
無意識のうちに握りしめていた拳を振りかざし、銀髪の頭に振り下ろす。
しかしそれはいとも簡単によけられて、俺の拳は宙を切った。