protect you〜守るべきもの〜
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「──…ら、く……はら!!」
「ん……」
誰だよ…
「栗原、起きろ!!」
っせぇな……寝かせろし。
うるさい声から顔を背けると、その声がさらに大きくなった。
「栗原っ!!!」
「んだよっ!!」
バンッと机を叩いて上半身を起こすと。
目の前には、バーコードハゲの中年オヤジが立っていた。
生徒指導 兼 数学担当の森だ。
見かけによらず、歳は30代らしい。
「栗原ぁ……俺の授業で寝るたぁいい度胸だな」
「あー…1時間目、数学でしたっけ……」
言いながらボリボリと頭を掻く。
時計を見ると、もう既に1時間目は始まっていて。
俺、あのまま寝たってことか……
つーか、寝た授業がよりによって森の数学かよ。
ツイてねぇ。
「その髪といい態度といい!貴様は俺を舐めてるのか!!」
「別にそんなことないすけど」
「全く、これだから嫌なんだ!いいか?俺の若い頃はなぁ………」
…また始まった、森の自慢。
中学の頃はああだったとかこうだったとか、一度始まると止まらないこの自慢を聞くのはもう飽きたっつの。