protect you〜守るべきもの〜
ため息をついて、机の横にかけてある鞄を手に取り歩き出す。
「おい栗原っ!?まだ話は……」
「体調悪ぃんで帰ります」
まだ話したがっている様子の森に見向きもせず、足で教室のドアを開けて出た。
もちろん、体調不良だなんてウソ。
森のくだらない話を聞きたくなくてサボっただけだ。
耳にタコが出来るほど聞いたっての。
校門を出て、はたと足を止める。
……どこに行こう。
家に帰る?
…いや、親になんて説明するんだよ。
街をうろつく?
…警察に補導されるのがオチだな。
「くーりはーらくーん!」
自問自答しながら決めかねていると、あの甲高い声が後ろから聞こえてきた。
振り向くと……予想通り、アイツだ。
茶色い髪を揺らしながら、榊真浩は笑いかけてくる。