protect you〜守るべきもの〜
「......テメェに指示されることじゃねぇ」
銀髪野郎の腕を振り払おうとするも、その力には抗えない。
仕方なく、苛立ちを訴えるかのように睨みつけた。
ふつふつと怒りが沸いてくる。
「何が悪ぃんだよ、復讐のために生きて。
それとも何だ、『明るい未来を見ろ』とか偽善者ぶりてーのか?」
「...ちげーよ、そんなんじゃねぇ」
「なら、口出しすんな!!
俺と泉里の過去に踏み込むんじゃねーよ!!」
それは、こいつらに対する怒りじゃない。
泉里の死から1年以上たった今でも、何も出来ていない自分への怒り。
あの総長を見つけることも、強くなることも、何一つ達成出来ていない。
だから、こんなのはただの八つ当たり。
...そんなのは分かってる。
でも、一度放出された怒りは止まらずに、俺の口から飛び出してくる。
「うぜぇんだよ......いちいち干渉してきやがって。アイツみてぇにしつこいくらい近づいてきやがって!」
「歩っ……」
「いつになったら離れんだよ!
いつになったら俺は……1人になれんだよ!!」