protect you〜守るべきもの〜
「栗原君、帰るのー?」
「……あぁ」
「まだ朝だよ?」
「いいだろ、別に」
「立ち止まってたけど、行くとこなくて困ってたりする?」
「…そんなんじゃねぇよ」
何だ、コイツ。
妙にカンが鋭いな……
「もし困ってるなら、僕にいい案があるけど」
「……いらねぇし」
「あ、困ってたんだ?」
・・・げ。
口が滑った。
それをいいことに、榊真浩はニヤリとして俺の前にまわった。
「誰にも見つからない、いい場所があるよ?」
「……」
「ねーえー、聞いてる?」
「うっせぇ。お前一人で行けよ」
「えー。栗原君が居た方が楽しいもん」
「俺は楽しくない。どけ」
鞄を持っていない左手で、榊真浩をどけようとすると。