protect you〜守るべきもの〜



……いちいち皮肉めいた言い方だな、おい。


しかも意味分かんねぇし、そもそも。



「...誰も見てないとか言うけどよ、お前らが見てんじゃねぇか」


「そうだよ?だから歩は1人じゃない」



・・・。


そういうことかよっ!!



「歩は1人じゃないよ。ていうか、1人で生きられる人なんていないんだよ。
現に、歩がそうじゃん。
1人で生きようとしてても、最終的には誰かに心を許してる」


「...うるせぇよ。お前に何が分かんだよ」


「分からないよ。
親友を失う気持ちなんか...分かりたくないって思ってたしね」


「ッ…大事な奴を亡くしたことのねぇ輩に、どうこう言われる筋合いは……」


「けどさ」



俺の言いかけた言葉を遮って、榊は下を向いたまま笑った。



「今、その気持ち、何となく分かる」


「は...?」


「だって僕、歩っていう親友を失っちゃいそうな危機に陥ってるもん」



一瞬呆気に取られた俺の中に、すぐさま苛立ちが生まれた。



「何...だよ、それ。
俺が味わった苦しみはそんなもんじゃねぇ!」


「『そんなもん』?僕にとっては大問題だよ。ここで歩を引き止めなかったら、絶対に、一生悔やむって思うから」


「っ……」



榊の瞳はあまりに真っ直ぐで。


文句は言いきれないほどあるのに、その瞳に押さえ込まれて何も言えなくなる。


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