protect you〜守るべきもの〜



「僕も、諒真さんも。
どうにかして歩を救いたいって思ってる。
もう1回、歩の笑顔が見たい」


「...はっ、笑えるかよ。
俺はもう二度と、笑っちゃいけねーんだ」


「またそうやって...さ。
歩は、どれだけ自分を縛れば気が済むの?
どれだけ苦しめば満足する?
何?もしかしてドMなの?」



Mとかそういう問題じゃねーよ!!

...と言いそうになる衝動を飲み込んだ。


駄目だ。


流されるな。


コイツのペースにはまったら終わりだ。



「人を殺めておきながら笑えるわけねぇだろ?縛るっつーか、これが当然の報いなんだ」


「...でも、泉里くんが望むことじゃない」


「アイツが望まなくても、こうするべきだ」



ここまで冷静かつ真剣に誰かと会話をしたのは初めてだと、ふと思う。


真っ向から受け止めている様子の榊に、どこか安心感を覚えてるのかもな...。




「……あーあ、なんか面倒だな、もう〜」



突然そう言って、榊は深々とため息をついた。


風で揺れる茶色い髪を両手で上げて、伏せていた顔も上げる。


……その奥の目が、変わったような気がした。


と思ったと同時に、銀髪が一言。




「…あ、俺、今日が命日だな」




< 151 / 195 >

この作品をシェア

pagetop