protect you〜守るべきもの〜
「僕も、諒真さんも。
どうにかして歩を救いたいって思ってる。
もう1回、歩の笑顔が見たい」
「...はっ、笑えるかよ。
俺はもう二度と、笑っちゃいけねーんだ」
「またそうやって...さ。
歩は、どれだけ自分を縛れば気が済むの?
どれだけ苦しめば満足する?
何?もしかしてドMなの?」
Mとかそういう問題じゃねーよ!!
...と言いそうになる衝動を飲み込んだ。
駄目だ。
流されるな。
コイツのペースにはまったら終わりだ。
「人を殺めておきながら笑えるわけねぇだろ?縛るっつーか、これが当然の報いなんだ」
「...でも、泉里くんが望むことじゃない」
「アイツが望まなくても、こうするべきだ」
ここまで冷静かつ真剣に誰かと会話をしたのは初めてだと、ふと思う。
真っ向から受け止めている様子の榊に、どこか安心感を覚えてるのかもな...。
「……あーあ、なんか面倒だな、もう〜」
突然そう言って、榊は深々とため息をついた。
風で揺れる茶色い髪を両手で上げて、伏せていた顔も上げる。
……その奥の目が、変わったような気がした。
と思ったと同時に、銀髪が一言。
「…あ、俺、今日が命日だな」