protect you〜守るべきもの〜
「...あれから1年半、か......」
屋上のフェンスに寄りかかりながら、そっと呟いてみる。
俺ももう、16になった。
そういや、あの時いたもう1人のヤツはどうなったろうな。
妙に強気で、でも結局は俺の言いなりになったアイツ。
地元を離れる時、偶然にも見かけたが、黒かった髪を真っ赤に染めていた。
まるで……血のような、赤に。
俺へのあてつけだろうか?
俺だって鬼じゃねーし、親友を死なせちまった事は今でも悪いと思ってる。
死に追いやっておいて言うのも何だが、悲しみから立ち直っていてくれればな。
俺もこうして、新しい人生を歩んでいるのだから。
唯一気がかりなのは...
あの中学生...泉里が言った言葉。
『いつもいつも、そうやって皆消える!!』
……これは、あくまで俺の推測だが。
きっとアイツも、あの強さが災いして、恐れられてきたんだろうな。
そんな中、やっと出会ったのが赤髪のやつ。
自分と同じくらいの強さをもつアイツのことを、相当大切に思ってたんだろう。
...まぁきっと、あの少年がそれを知ることは無いだろうが。
「おい、そろそろ集会の時間じゃねぇの?」
隣で立っていた友達に言われ、「あぁ」と返事をした。
過去に浸ってる場合じゃなかったな。
手にしていたタバコを落として踏み付ける。
それとともに欠伸が出た。
「うわ、ねっみ〜…。
集会とかマジでやりたくねぇんだけど」
「まぁそう言うなって。
一応お前、暴走族の総長っつー立場なんだから」
「まぁな」
「しっかしすげぇよな、お前。
どこからかフラリと転校してきたと思ったら、わずか半年でここまでデカイ暴走族作ってさ」
「別にすごくねーよ。じゃ、行ってくるわ」
「おぅ」
ポケットに手を突っ込んで歩き出す。
少し歩いた所で、後ろから呼び止められた。