protect you〜守るべきもの〜
└ 対決
───数十分後。
「ヤッターー!!勝ったーー!!!」
「すっげーな真浩!!俺にもやらせろ!」
「諒真さんはアリンコ並に弱いからダメ」
「んだとっ!?」
騒がしい2人の言い争いを聞きながら、俺の視線は目の前のゲーム機に釘付け。
そこには、
【GAME OVER】
の文字。
「…嘘だろ?」
それしか、思いつく言葉がない。
完全無敗の俺が、あんな仔犬に負けた?
…ありえねぇ………
「あーゆーむー♪」
背後からの楽しげな声に、ビクリと肩が震える。
「僕、勝ったよ♪」
「……それがどうかしたかよ」
「約束だよね?」
……いまさら惚けても無駄ってワケか。
まさかこんな奴に負けるだなんて、思ってなかった。
俺、馬鹿かもしれないな。
「歩ー、約束守ってよー」
「分かってる。……榊」
「えぇ、苗字!?どうせなら名前にしようよー」
「そんな約束はしてねぇし」
「……チッ」
あまり迫力のない睨みをきかせ、榊は舌打ちした。
全ッ然怖くねー。
銀髪は『仔犬も本気を出せば狂犬』とか言ってたけど、そんな感じは全く無い。
ちっせー仔犬が頑張って威嚇してるようにしか見えねぇっての。