protect you〜守るべきもの〜
ビュンッと風を切る音がし、ゴンッという手応え。
確かに殴った。
この目でも、確認した。
……確認した、はずなのに。
「残念、当たってないんだなー」
俺の拳を左手で受けたまま、銀髪はまだ笑っていた。
その綺麗な頬にはかすり傷ひとつ無い。
勢いをつけたのに、軽く手で押さえ込むなんて……
「っ、嘘…だろ?」
「もしかして、俺が弱いとか思ってた?」
「……」
「うわ、マジ?これでも俺、とある族の幹部やってんだけどなー」
「なっ…!?」
か、幹部!?
聞いてねぇぞ、そんなこと……
「どうする?やめとくか?」
ニヤニヤしながら言ってくる銀髪。
ほんっと、そういう顔されるとさぁ……
ムカつくんだよな。
「……やめるわけねぇだろ」
ハハ、と、思わず笑いが起こる。
幹部?
上等じゃねぇか。