protect you〜守るべきもの〜
「……売られた喧嘩は買う。そう決めてんだよ!!」
言い終わる前に、空いた左手で銀髪の右腕を掴む。
そして、そのみぞおちに膝蹴りを食らわせた。
少し力が緩んだ隙をついて、回し蹴り。
これで少しはバランスが崩れるだろう。
・・・そう思っていたら。
「いてて……油断した」
銀髪は蹴られた腹を押さえながら、大して痛くもなさそうに呟いた。
くそ、この蹴りも効かないか。
やっぱりそこらの雑魚とは違うってワケだな。
一旦後ろに跳び、相手の出方を待つ。
「ハハッ…結構重い蹴りだな。でも、俺には利かねぇ」
そう言って銀髪は楽しげに瞳を揺らし、俺を見据える。
その射るような鋭い瞳に、ゾクリと震えた。
「んじゃあ……反撃させてもらうぞ」
言葉とともに消えた銀髪。
気が付けば……俺の目の前で、拳を掲げていた。
「っ、!!?」
慌てて後方に跳ぶと、その手が前髪をかすめた。
自分の拳が宙を切ったからか、銀髪が驚いたような顔になる。
けど、驚いてんのはこっちだ。
今まであんなに速い動きを見たことがない。
目で追えないスピードで動き、かつあんなに鋭い拳……
この銀髪、相当なやり手か。