それだけが、たったひとつの願い

3.あなたの光

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 あっという間に年があけて新年になり、お正月といってももう三日目になった。

 クリスマスの後、台湾に戻って仕事をすると言っていたジンはしばらくここには来なかったものの、大みそかの夕方に再びふらりと姿を見せ、そのままずっと寝泊まりしている。

 新年になった瞬間、私とジンはこのリビングで一緒だった。
 知らなかったのだけれど、台湾のお正月といえば、“旧正月”なのだそうだが、近年はカウントダウンを楽しむ若者が増えているらしい。

「由依、おかわり欲しい」

「お餅は?」

「もうひとつ食べる」

 ずい、っとお椀を出され、私はあきれるように笑ってそれを受け取った。

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