政略結婚に隠された真実
今朝の出来事が一瞬で会社中に広がっているのに、今日に限って秘書室業務とかツイてない。

あ~~営業部に戻りたいよ~~~

秘書室にある自分のデスクで、はぁ~~~~っとため息をついた。

「朝霧さん。単刀直入に言うけど、あなたおバカなの?あなた朝から何考えてるわけ?どういうつもりで男の方にエントランスまで送ってもらったの?そのせいで人だかりまで。朝から大迷惑。ここは仕事するところですけど?社長令嬢様は何を考えてるんでしょうね。仮にも秘書室にデスクがあるんですから、秘書室の品格を落とさないようにして頂ける?」

隣の席からイヤミったらしく話しかけてきた。

うんざりした気持ちでチラッと横を見た。
彼女は相変わらず私の事が気に入らないんだろう、すごく嫌な顔をしていた。

あら、あなたにはそんな男性いましたっけ?っと、嫌味を返してあげようと口を開きかけたけど、今日は相手にするのが面倒なので適当に謝っておいた。

「あ・・・ゴメンナサイ。そんなに迷惑でした?止めてって言ったんだけど、聞いてくれなくて・・・。それと秘書室の品格はもともとあったかしら?」

おかしいわね~。とはぁとため息をつきながら私は言った。

彼女は愛梨の返事に目を真ん丸くして驚いていた。

「相変わらずバカげたことを言うのね。ここの秘書室の品格は一流よ。それにしても、絶対謝罪の言葉なんて口にすることがないあなたが、その言葉を口にするなんて気持ちが悪いわ」

「!?」

私はその言葉に驚いて、今度はこっちが目を真ん丸くする番だった。

えぇぇ――・・・。気持ち悪いってなんなのさ~。あまりにもひどくない~?

思わず半眼になって、はははと乾いた笑いした。

さすがに“気持ち悪い”という言葉にショックを受けたが、気分を入れ替えて仕事に取り掛かった。
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