政略結婚に隠された真実
「愛梨。結婚するらしいよ?」
瑠依はあっけらかーんと言っちゃいましたよ。
おいおい瑠依様?そんなあっけあらかーんと言うような内容でしたっけ?
「結婚するってどういうこと?愛梨、恋人いたの?」
それを聞いた新は、一瞬体をピクッとさせ、聞き返した。
ニコニコしてはいるけど、どことなく目は笑っていなくて、いつもよりちょっと低い声。
ななな、なんで私がそんな顔して見られるワケ?!
新のいつもの顔じゃないことと、今朝投下された爆弾で、軽く自暴自棄。
グラスにいっぱい入ったチューハイをゴクゴクと一気飲みし、ヤケクソな勢いでしゃべりだす。
「今朝、突然言われたわけよ。『愛梨、近々あなた結婚よ♡』ってウッキウキしたお母さんに言われたのよ。その上『もう決定事項だから、拒否権無しよ♡』だって!見たことも会ったことも無い人なのよ!好きでもない人と結婚だなんて、私の両親どうかしてるよッ!私の人生なんだと思ってるワケ―――ッ!!」
「それ、ドッキリとかじゃなくて?」
「新、こういうドッキリとかすると思う?愛梨の両親。」
「…しないだろうね。」
「しかし、おじさんとおばさん、娘の結婚なのに、やけにあっさりしてるね」
「相手って誰なんだろう?愛梨、名前も聞かなかった?」
新は、叫んだ後再び机に突っ伏していた愛梨に問いかけた。
「愛梨?大丈夫?起きてる?…愛梨?」
私は、お酒に強くないのに一気飲みをしてしまったのと、朝からの心労でどうやら相当参っていたみたい。
さっき叫んだので、どっと疲労感に襲われ眠りこけてしまった。
「あら~、また愛梨寝ちゃったの?」
「寝たみたいだな。眉間にしわ寄せてる」
「アルコールにそんなに強くないのにいっぱい飲むから。」
「愛梨も酔って気を紛らわしたかったのかもね、だっていきなり結婚だし。」
「でも、マジで愛梨、結婚することになるだろうね~。…愛梨大丈夫かな?」
酔って寝てしまった私を、新が膝枕をしてそれから2時間ぐらい飲んだらしい。
その間、私は「はんたーい!!」や「私の人生!!」とか途中叫んでいたそうです。
うぅぅ、いくら瑠依と新でも恥ずかしいものは恥ずかしい…。
22時も過ぎたので、解散することになったらしいんだけど、起きないよね、私。
お酒も入ってるから簡単には起きません。
「愛梨ー、帰るよ~。起きて~愛梨~」
「愛梨、ココで寝てちゃだめだよ、起きないと。愛梨?起きて?」
何度も何度も2人にゆさゆさと揺らされても起きない私。
私は夢の中で、自分の両親と果てなき戦闘をしていたわけで。
全く起きない私を、新が送ってくれることになりました。
瑠依のスマホから着信音が流れた。
「瑠依、お迎え来た?」
「来た~。お店の前に着いたって~。」
「そうか。じゃあ、今日も寝てる愛梨は俺が送って行くよ。」
「うん、毎回ごめんね、ありがとう。新、愛梨よろしくね~」
「了解。気を付けて帰れよ。」
瑠依は『はいは~い』と片手をひらひらさせて、お店から出て、迎えに来ていた車に乗り込んだ。
それを見届けると、愛梨を抱き上げ、呼んでおいた車の後部座席に乗せ、自分もそのまま乗り込んだ。