政略結婚に隠された真実
30分程車を走らせ、高級住宅街へと入って行った。

愛梨の家は相変わらずひときわ大きく、どこまで行っても塀が続く。

インターフォンを鳴らし、名前を伝えると自動的に門が開く。
俺にとっては見慣れているため驚きはしないが、そうじゃない人が、この広い庭を見ると開いた口が塞がらないだろう。



「こんばんは、いらっしゃい新くん」

ふわっとした雰囲気で出迎えてくれたのは、愛梨とよく似た愛梨の母だ。

「こんばんは、おばさん。ごめんなさい、愛梨お酒飲み過ぎて寝てしまいました。」
愛梨を抱き上げたまま、おばさんに挨拶しお詫びを入れた。
「あらあら、愛梨、またなの?ごめんなさいね、いつもいつも送ってくれて。」
「いえいえ、全然大丈夫ですよ。」

そんな話をしていると、背が高くがっしりとした体型の愛梨の父が、申し訳なさそうに奥から歩いてきた。

「いらっしゃい、新くん。毎回すまないね、愛梨が迷惑をかけて。」
「いえ、迷惑じゃないですよ。いつも楽しく飲んでますよ。」

にこやかに対応し、いつも通り部屋へ連れて行こうとすると、ふともう一つの影が視界に入ってきた。

そこに視線を向けると、若い男だった。
短めの黒髪に、180センチ…は超えているだろう身長、細いだけじゃないスラッとした体。
整った眉にスッと通った鼻筋、キレイな二重の切れ長の目。
ザ・イケメン。

何故ここに男が?

瞬間的に愛梨の弟ではないと確信する。


見たことない…?


いや、見たことは何度もある。


こいつは―――――!!
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