エリートな先輩の愛情を独り占め!?
「あ、お弁当持参組なんですね」
「う、うんそうなの節約で」
待て、私の食事に触れるでない。
「お弁当の方がヘルシーですよねー。私もお弁当にしたいです。最近太っちゃってもうー、本当デブですよねー」
嫌味かこのやろう、喧嘩するか? 戦争だぞもはやこれは。屋上こいや!
なんて私が思ってるとも知らずに、彼女は細い二の腕をぷにぷにし出した。
「わかる~、私も本当飲み会でデブマックス期なの今」
私はあなたのデブマックス期のメーター振り切ってますけどなにか?
「もう痩せなきゃね~、お弁当始めよ私たちも!」
……なんだか急に鶏のささみなんか食べてる自分がみじめになって、羞恥心で消えたくなった。こんなことになるんだったら、八谷先輩みたいにたくさん料理を盛ってモリモリ食べていればよかったな。
……恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい、ムカつく、もう嫌だ、ご飯美味しくない。味がしない。
「俺ご飯美味しそうに食べる子チョー好き」
震えながら箸を握っていると、突然八谷先輩が大きめの声でそう宣言した。
それはあまりに突然のことだったので、私も彼女たちもとても驚いてしまった。しかし、八谷先輩は構わず言葉を続けた。
「葉っぱばっか食べてる女の子見ると、野うさぎかよって思うわ」
「え……、えー、あは、うさぎじゃないですよ私たち~、面白いですね先輩」
「うさぎって聞くと、小学生の頃うさぎ小屋の掃除の時に見た黒いうんちと悪臭が蘇るんだよなあ……あいつら懐かないし」
「え……ああ、え」
完全に戸惑っている彼女たちに向かって、八谷先輩は最高の笑顔向けながら後方を指差した。