エリートな先輩の愛情を独り占め!?
じーんとしながらそう呟くと、八谷先輩はお腹を抱えて大声で笑い始めた。
……あ、よかった、機嫌直ったみたいだ。
「美味いか、タマ」
「はい、美味しいですっ」
私が満面の笑みで答えると、八谷先輩も爽やかな笑みを浮かべて、私の頭を一瞬ぽんと撫でた。
「よし、もっと食え食えっ」
「あ、あと一口だけなら……」
「なんだよもー、俺を癒せタマー! これも先輩命令だ!」
「どんな命令ですか本当! やめてください!」
よかった、八谷先輩、笑ってくれて。やっぱり八谷先輩とご飯を食べると楽しいし美味しいな。八谷先輩の笑顔を見ると、なんだか凄く元気になるし、あーんってされるのも実は全然嫌じゃない。
私、この先輩に可愛がってもらえて、気に入ってもらえて、本当によかった。
「可愛いな、タマは本当に」
そんな楽しい食事時間にも関わらず、テーブルに置かれた八谷先輩のスマホ画面は、彼女からの大量の通知で埋まっていた。
それはもう当たり前のことだったので、私は今更突っ込まないし、八谷先輩もそのことには触れない。
だって、聞かなくたってわかるもの。彼女は八谷先輩のことが大好きで堪らないということも、八谷先輩はそんな彼女に毎日毎日愛の言葉を送り続けているということも。
八谷先輩にとってただの餌付け役である私には、関係のないお話だし、私には彼氏がいるし、うん。