エリートな先輩の愛情を独り占め!?
「……飯食ったの？」
「ううん、今日はお腹空いてなくて、ヨーグルトだけ」
「もっとちゃんと食えよ」

疲れていたせいで、少し冷たい口調になってしまったが、知佳はなにやら嬉しそうにしていた。

「心配してくれるなんて嬉しい……ハチ君大好き」

あーそうですか、ありがとうございます、風呂入っていいですか。心の中でそう思いながら、俺は擦り寄ってきた知佳にキスをした。

知佳は、大学時代の友人で、ちょうど就活の時期になってから付き合い始めた。もうすぐ彼女と付き合い始めて五年になるが、知佳は、悪い意味で昔と変わらない……変われないのだ。知佳は、変化を許さないのだ。

「ハチ君は昔からだぶっきらぼうに心配してくれるよね、私のこと」

目が合うと吸い込まれそうな大きな目、血管が透き通りそうなほど白い肌、転んだら折れてしまいそうなほど細い手足。
その容姿から、大学時代はバンビちゃんなんてあだ名がついていたほどだ。
あの頃はまさかこんなに長く付き合うことになるとは思わなかった。

「知佳、あのさ、明日夕飯外で食うことになってたけど、その話再来週に延ばしてもいいか？」
「え……どうして？」
「難しい仕事が入ったんだ。この二週間は死ぬ気で働かなきゃならない」

わかってほしい、そういった願いで落ち着いて話したつもりだが、知佳の顔はみるみるうちに曇り出した。


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