エリートな先輩の愛情を独り占め!?
その日一通り仕事が終わったのは、夜の二十一時のことであった。とっくに終業時間は過ぎており、品質管理試験の練習の居残り新入社員勢ですら帰っていた。
官能検査の結果を元に改善点を更にまとめていたら、いつの間にかこんな時間になってしまった。
開発部にある事務室は薄暗く、デスクはめちゃくちゃに散らかっている。そろそろ帰るか、と思いスマホを開くと、知佳からの着信が三十件入っていた。
「まじかよ……」
なんだかそれを見た瞬間、どっと疲れが増して、思わず頭を抱え込んでしまった。しかし、ちょうどタイミングよく知佳から着信が入ってしまったので、俺は渋々通話ボタンを押した。
「はい、もしもし」
『今どこにいるの? なにしてるの?』
「仕事だよ……昨日遅くなるって言っただろ」
『遅過ぎだよ、今本当に会社にいるの? 飲み会とかじゃなくて?』
「あのなあ……お前さ……」
呆れて言葉が出てこないし、疲労のせいで頭が回らない。頭痛は激しさを増し、頭蓋骨がミシミシと音を立てるんじゃないかってくらいだ。
「とにかく、今から帰るから。先寝てていいからもう」
『男の人って、やましいことあるとそうやって呆れたように怒るよね、誤魔化すためにさ』
「知佳、わかった。写メ送ればいいんだろ。送るから、それでいいだろ」
『昔はそんなんじゃなかった! もっと優しかった!』
トントンとこめかみを指で叩きながらなんとか知佳の甲高い声に耳を傾けていたが、その一言でついに限界が来てしまった。
「いい加減にしろよ! お前も社会人ならわかるだろ、わかってくれよいい加減!」
官能検査の結果を元に改善点を更にまとめていたら、いつの間にかこんな時間になってしまった。
開発部にある事務室は薄暗く、デスクはめちゃくちゃに散らかっている。そろそろ帰るか、と思いスマホを開くと、知佳からの着信が三十件入っていた。
「まじかよ……」
なんだかそれを見た瞬間、どっと疲れが増して、思わず頭を抱え込んでしまった。しかし、ちょうどタイミングよく知佳から着信が入ってしまったので、俺は渋々通話ボタンを押した。
「はい、もしもし」
『今どこにいるの? なにしてるの?』
「仕事だよ……昨日遅くなるって言っただろ」
『遅過ぎだよ、今本当に会社にいるの? 飲み会とかじゃなくて?』
「あのなあ……お前さ……」
呆れて言葉が出てこないし、疲労のせいで頭が回らない。頭痛は激しさを増し、頭蓋骨がミシミシと音を立てるんじゃないかってくらいだ。
「とにかく、今から帰るから。先寝てていいからもう」
『男の人って、やましいことあるとそうやって呆れたように怒るよね、誤魔化すためにさ』
「知佳、わかった。写メ送ればいいんだろ。送るから、それでいいだろ」
『昔はそんなんじゃなかった! もっと優しかった!』
トントンとこめかみを指で叩きながらなんとか知佳の甲高い声に耳を傾けていたが、その一言でついに限界が来てしまった。
「いい加減にしろよ! お前も社会人ならわかるだろ、わかってくれよいい加減!」