エリートな先輩の愛情を独り占め!?
「あ、あったあった、よかっー……きゃあ!」
なんとそこにやってきたのは、間抜けな顔のタマだった。タマを見た瞬間、なぜか一気に胸の苦しさから解放されて、とんでもない安堵感で全身が包まれた。
「先輩見て悲鳴あげるとはなにごとだお前」
「うわーもう本当ビックリしたんですけど! 八谷先輩こんな時間まで残ってたんですか!」
「お前はなにしに来たわけ?」
「私はお弁当箱忘れちゃって……まだ会社付近にいたのでついでに取って帰ろうと……あ! 八谷先輩ベーグル食べてくれたんですね!」
タマはバカみたいに素直な笑顔で俺の隣に座って、嬉しそうにベーグルを指差した。
なんだこいつ、太陽みたいに明るいな、本当に。
「八谷先輩いっつも味濃いものばっかり食べてるからなー」
よく見たらまつ毛長いし、肌は綺麗だし、唇はなんかちっちゃくて可愛いし、頬は丸いし可愛いし。なんか可愛いんだよな、こいつ。
「たまにはこういうヘルシーな食品も食べないと、その優秀な味覚が勿体無いですよ」
あーダメだ疲れてるせいで余計こいつの癒しオーラに当てられてしまう。
「八谷先輩そういえば顔色悪くて心配してたんですけど、よかったらこのビタミンドリンク飲みます? これ結構疲労回復によくてー……」
「タマ、口開けろ」
「……え?」
「俺の疲労回復はお前の食べてる姿だ。ほら、あーん」
ベーグルを千切って餌付けしようとすると、タマは少し怒ったような顔をして頬を膨らませた。