エリートな先輩の愛情を独り占め!?

「本当、八谷先輩がいるせいでダイエット続きませんよ」
「諦めて食うんだな。ほら、先輩命令だタマ、あーん」
「……本当八谷先輩って……」

俺のことを睨みつけながら、タマが口を開けた。俺はその小さな口にベーグルを入れて、顎を人差し指でくっとあげて閉じた。タマは丸い頬をもぐもぐ動かしながらベーグルを食べている。やっぱりその姿が可愛くて、タマがリスにしか見えなくなってしまう。

「美味いか、タマ」
「お、美味しいです……私があげたものですけどねこれ」
「はは、お前本当可愛いわ」

ーーなんだかその姿が本当に愛おしくて、色々いっぱいいっぱいだったこのタイミングでタマに会えたことへの嬉しさも重なり、俺はつい、タマの頬を手の甲で撫でてしまった。
そうしたら、なんだか意識もないままに自然と手がタマの後頭部にまわっていて、気づいたらタマの唇にキスをしていた。

「え……八谷先輩……?」

俺がタマにキスをしてしまったことに気づいたのは、タマが目を丸くして俺の顔を見てから数秒後。
「え……、えっ、え!? 俺今お前にキスした!?」
「え、ええ……しましたよね……」
「待ってくれ、すまん……すまん!!」

人間というものはときに本能に任せてとんでもない行動をしてしまう時がある。犯罪だってそういった一過性の感情に身を任せたばかりに起こってしまうもので……まさか俺にもそんな失態を犯す日が来るとは思わなかった。
俺は大パニックのままタマに謝ったが、タマは俺以上にもぬけの殻状態だった。エクトプラズムが抜けていってしまっているんじゃないかってくらい、頭の中が真っ白になっていた。

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