エリートな先輩の愛情を独り占め!?

確かに八谷先輩の彼女は束縛が激しくて有名だ。八谷先輩のスマホは常に彼女からのメッセージで埋まっているし、会社の飲み会にも、上司がいる飲み会じゃない限り参加しない。
スマホのホーム画面は彼女とのツーショットだし(浮気防止のために無理矢理設定されたらしい)、その写真を見る限り彼女はとても美人でスタイルがよい。
そうだ、八谷先輩は私とは正反対のセクシーな人が好きなんだな、とその写メを見てわかったので、それも八谷先輩を男性として意識してこなかった理由かもしれない。

「忠告ありがとう……これから気をつけるね……」
「本当気をつけてね! 女の嫉妬は怖いんだからさ~。ていうか、タマちゃんちょっと痩せた?」
「え!? 分かる!? 実は二キロほど落ちまして……」
「少しだけふっくらしてた前の方が可愛かった~、もうそれじゃ普通じゃん」

いやいやいや、それは同性だからそう言えるのであって……そもそもなぜそこで残念がってるのだ由紀子は……。
複雑な感情を抱きながらも、私はサラダをもぐもぐと頬張った。

「それにしても本当八谷先輩ほタマを可愛がってるよね〜」
「え、いや、それはただ単に食べさせ甲斐があるからで」
「八谷先輩、生チョコソースの開発で苦労してたみたいだけど、あっちの要望クリアした製品作って、また評価上がったらしいよ。本社で商品作りももう目の前なんじゃないかな」
「え……そうなの!? あの会社コストにうるさくて大変なのに……」

やっぱり八谷先輩は仕事の先輩としてすごく尊敬できる。知識の量が半端じゃないし、口が上手いから営業マンとしての素質もあり、おかげで他社との関係性も上手く行ってる。以前のチームリーダーからの引き継ぎは相当大変だったろうに、八谷先輩は自分自身で知らないことを調べて、色んなことを勉強して、積極的に食事会にも参加して、人間関係を構築していった。あのパワーと責任感の強さは、私では到底たどり着けないレベルだ。
確かに八谷先輩なら、すぐにでも本社に移動して商品開発に携われるだろう。八谷先輩自身も、材料の提供や品質管理だけでなく、いつか菓子の商品開発に直接携わり、自分の考えた商品が店頭に並ぶことが夢だと言っていたし……。

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