エリートな先輩の愛情を独り占め!?

「理乃、こっち向いて」
彼の声に、私は素直に目を閉じてキスに応えた。
しかし、この前の八谷先輩とのキスを思い出してしまい、すぐに唇を離してしまった。
忘れよう忘れようと思えば思うほど脳に焼き付いて離れない。

「理乃……どうした？」
「あ、ごめん、なんでもない……」

いくら不意打ちすぎて避けられなかったと言えども、八谷先輩とキスしてしまった事実は消えない。
竣介を裏切ってしまった罪悪感で、急に目が合わせられなくなってしまった。でもきっとこのことを伝えても、解決策は見つからないし、私は八谷先輩に気持ちはないけどそんなことは言葉で伝えても説得力がない。言ってもきっと不安にさせるだけだ。
ごめん、竣介、ごめん……。
私は、心の中で謝りながら、そっと彼に抱きついた。

人を裏切るって、こんなに辛いことなんだ。知らなかった。