エリートな先輩の愛情を独り占め!?
予想通り、検査は終業時間以内に終わらなかった。新人は用事があると言っていたので、私は仕方なくひとりで倉庫の清掃を終えた。
慌てて竣介にメッセージを送ったが、一時間も待てないから他のやつと飲んで帰るわ、とそっけない返事がきた。
そして私は今、ひとりでとぼとぼと帰宅している。金曜以外の平日は竣介の家には行かない約束になったから、会社の最寄り駅に向かって、大人しく自宅を目指している。

今日はなんてついていないんだろう。全てに対する怒りや不満や悩みをどこにぶつけたらよいのかわからない。何もかもが消化不良で気持ち悪い。
また胃のあたりがキリキリし始めて、私は一度立ち止まった。
あと少しで会社の最寄り駅なのに……歩くたびに痛みが走るから動けない。タクシーも走ってないしどうしよう……。
駅から会社へ向かう歩道で、私は道の端に寄ってお腹を押さえて立ち止まったまま、歯を食いしばった。白い光に照らされては、車が横をすり抜けていく。見知らぬ人がチラチラと私を見るけれど、そのまま通り過ぎていく。

『そんな意識の低さで店頭用の商品開発なんていかれても困るわ。まあ声なんてかからないでしょうけど』

桜庭さんの八つ当たりに近い言葉が、更に痛みを増していく。
ふだんはこんなにネガティブにならないのに、どんどんマイナスの感情が膨らんでいく。
大きな目標というものが、会社に入社してからどんどん小さくなっていった。日々の小さな具体的な目標はあるけれど、その小さな目標たちが一体どこに向かっているのか見失ってしまった。
仕事ができる人は一年目から頭角を現していたし、どんどん仕事を任せてもらえるそんな優秀な同期が羨ましかった。

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