エリートな先輩の愛情を独り占め!?
『どうせダイエットなんか続かないよ。お前は目標をもってコツコツ努力することが苦手だからな』
私にはコツコツ努力する力も、才能もないのかもしれない。このまま流されて、だらだら竣介と付き合って、あっという間に年を取っていくんだろうか。私の人生って、なんなんだろう。
社会人になってから、時々無性に不安になる。もしかして私って、すごくつまらない人間なんじゃないかって。
あ、やば、なんか泣きそう。
「……タマ?」
なんとなく視線を感じて、俯いていた顔を上げて前を向くと、そこには、黒のトレンチコートをかっちりきた、八谷先輩がいた。
「やっぱりタマか! どうしたこんな時間に? 具合悪いのか? 怪我したのか?」
八谷先輩が本当に心配した表情で、私の肩に優しく手をかけて顔を覗きこんできた。私はびっくりしすぎて上手く声が出せなかった。
「え……なんで……出張じゃなかったんですか」
「予定よりはやく終わったから戻ってきた。一度会社に戻って確かめたい資料があったから、今向かってる途中だったんだよ。そしたらお前が蹲ってて……」
なんで八谷先輩って、こんなにいつもタイミングがいいんだろう。私が入りたての時も、いつも八谷先輩がタイミングよくミスをフォローしてくれて、その度にアドバイスをくれた。
八谷先輩は、私にとってヒーローみたいだ。なんで先輩の顔を見ただけでこんなに安心して涙が出そうになってしまうんだろう。