エリートな先輩の愛情を独り占め!?
私、本当に今日八谷先輩に会えてよかった。
「八谷先輩……一言だけ伝えてもよろしいですか」
「なんだよ、手短に言えよ」
「八谷先輩のこと本当に好きです……」
「……ありがとう、ラブの意味で受け取っとくわ」
顔色ひとつ変えずにそう切り替えしてきたので、私は思わず笑ってしまった。この前のキスはびっくりしたけど、やっぱり私は八谷先輩が好きだし、八谷先輩といると楽しいし、八谷先輩のようにな先輩になりたいと心から思う。桜庭さんからのいびりは辛い時もあるけど、八谷先輩がいるから頑張れる。
「はは、私彼氏いますしその解釈はお互い問題ありですよ」
「……じゃあ彼氏がいなかったら?」
「……え」
笑いながら突っ込むと、八谷先輩は真剣な顔で私を見つめた。
それから、私の背後にある壁に手をかけて、もう一度同じ問いかけをした。
「もし今彼氏がいなかったら、どうなの?」
「八谷先輩……?」
「俺はあの時のキスのことでまだ頭がいっぱいだよ。罪悪感もだけど、それだけじゃなくてもっとー……」
もっと……なに?
そう聞く前に、口を手で塞がれ、耳元でそっと苦しそうな声で囁かれた。
「……あのキスで、罪悪感とぐちゃぐちゃになりながら、お前がもっと俺のこと意識すればいいのにって、思ったよ……最低だよな」