エリートな先輩の愛情を独り占め!?
食べることが好き。自分の考えた商品を店に置きたい。
シンプルだけど、揺るぎない俺の企業選びの軸。人見知りしない性格も役に立ったのか、就活はかなりあっさりと終わった。大手食品会社三社から内定を頂き、材料提供の規模が大きく、比較的売り上げが安定しているこの会社を選んだ。

いつか必ず本社の商品開発に行く。そう思ってがむしゃらに働いてきた。そして今、その夢を掴めるかもしれない瀬戸際にいる。

しかし、本社の商品開発に行くということは、大阪に異動するということだ。もし遠恋なんかになったら、知佳は 一体どうなってしまうのだろうか。
……異動したら、タマとご飯を食べることも、できなくなる。

……異動の話、結構マジらしいぞ、と、短いメッセージが仲のいい課長から送られてきたのは、それから一ヶ月後のことだった。
十二月の今の段階ではまだ確定ではないが、その可能性はかなり高いと言われ、俺は素直にガッツポーズをすることができなかった。

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