エリートな先輩の愛情を独り占め!?
「今日だけ特別、沢山食べていいよ」
「やった、ありがとう」
竣介のために八谷先輩とのランチを断ち切りダイエットを始めて二ヶ月。毎日低カロリーのものを食べていたおかげで体重はそこそこ落ちた。
八谷先輩だったら、いつでもお腹いっぱい食べろって笑ってくれるだろうな。そんなことを考えてしまう自分は、一体なんなんだろう。

「あ、そうだ。今日泊まってってもいい? この前腕時計忘れちゃって取りに行きたいし」
「……え、今日?」
竣介は明らかにバツの悪そうな顔をしたので、私は少し疑問を抱いた。
「この後なにか用事でもあるの?」
「いや、ないんだけど、今部屋すごく汚くてさ……」
「あ、じゃあ掃除して帰るよ」
そう提案すると、竣介は煮え切らない表情のまま、そう? まあいいか……と頷き納得した。


竣介の部屋に来たのは一週間ぶりだ。金曜と土曜しか来ない約束になってからもう随分経った。
私が来なくなってから確かに部屋は汚くなりがちだった様子だけど、今日家に来てみたら、汚いどころか綺麗に片付いていた。

「なんだ、全然汚くないじゃん」
「いや、風呂場とかがひどいんだよ」
「ふーん……」
なんだか少したどたどしい様子の竣介に疑問を抱きながらも、私はソファに座った。
「ごめん、先風呂入ってついでに掃除してくるわ」
「わかった、いってらっしゃい」
竣介がお風呂に入ると、私は一息ついてからテレビをつけた。
竣介といると、いちいち女子でいなきゃ、という気持ちになる。おしゃれに気を遣って、汚い言葉遣いはしないように気をつけて、家事をして、尽くして。それは全て強要されたことじゃないけれど、竣介はそういうことが当たり前にできる子と付き合ってきたみたいだから、なんとなくプレッシャーがある。
苦しい時は、私から好きになってやっと付き合えることになったんだから、と言い聞かせ耐える。

ダイエットもおしゃれも、彼が好きだから、頑張れるんだ。
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