エリートな先輩の愛情を独り占め!?

「……理乃は、可愛いな」
「……あの、話がすっ飛んでますけど……」
「好きとか愛してるとかよりも、可愛いって言葉が一番しっくりくるよ、タマは」
「それは、どういう意味で……?」
不思議に思って問いかけると、八谷先輩はぽんぽんと私の頭を撫でた。
「好きって言葉はさ、恋人に求められたら結構なにも考えずに言えちゃうんだよね。でも、可愛いって言葉は、……なんだろう、俺の中で、容姿とか性格とか行動とか全部引っくるめて愛おしいって意味合いだから、本当にそう思ってないと出ない言葉なんだよ」
「え……、そ、それは……」
まさかそんな意味合いがあっての言葉だとは思ってもみなくて、なんだか照れ臭くなって、私は八谷先輩の胸に顔を埋めた。
八谷先輩は、そんな私の髪を撫でながら、扇情的に囁いた。

「可愛いよ、理乃」
その囁きと同時に、有無を言わせずに彼は獣モードのスイッチに再び戻ってしまった。
その日私は、八谷先輩のキスに応えることに必死で、先輩に何回「可愛い」と言われたかは知らない。
< 71 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop