エリートな先輩の愛情を独り占め!?

いつも社員食堂の席はいっぱいで、なかなか席に座れないんだけど、なんと八谷先輩は窓際のシート席を予約してくれていた。どうやら最初から私に外でのランチを断られることは前提だったらしい……こういうところがぬかりなくてさすがだなあと思う。

「また彼氏になんか言われたんか」
ちまちまと鶏のささみを食べていると、八谷先輩が素っ気なく問いかけた。
「ええまあ……彼氏の元カノは読モでしたからね」
「はああ~? それとくらべるとか無理に決まってんだろ。遺伝子と骨格の問題からして」
「八谷先輩、それ慰めるふりして貶してますよね?」

そう突っ込むと、八谷先輩はハハッと爽やかに笑って、嘘だよ、と呟いた。
八谷先輩は確かにかっこいい。斜めに流した前髪は少し長めだけど、襟足はスッキリしている。耳から顎にかけてのラインがとても美しく、目や鼻のつくりはそんなに派手じゃないけど、ひとつひとつのパーツが美しくとてもバランスがいいので、清潔感が半端じゃない。学生時代も含めて、髪は一度も染めたことがないのだそうだ。その判断はとても正しいと思う。八谷先輩は、黒髪がよく似合う。

「まああんま気にすんなよ、俺はそのくらいが可愛らしくて丁度いいと思うし」
「……八谷先輩私に餌付け再開したいだけですよね」
「ほーら、タマちゃんお口開けてー、唐揚げだよー」
「もう、やめてくださいっ」


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