ツケマお化けに恋して
ガラガラ……

「ただいま！」

「美貴野お帰り！」

「美貴野ちゃんお帰り！」

母と雅さんは首を長くして待っていたようだった。

「ねぇねぇ、どこどこ？」

母は辰次郎さんに会いたくて仕方が無いようで、私の後ろを探している。
その辰次郎さんは私を店の前で降ろすと車を駐車場へ止めに行って居るのだ。

その時引き戸が開いた。ガラガラ…

そして辰次郎さんが入って来た。

「初めて、すぎし……」

「あらーイケメンじゃない！でも普通の格好じゃないがっかり……」と肩を落としている。

辰次郎さんの挨拶を遮ったのは勿論母だった…

「もぅお母さんたら…」

辰次郎さんはなんの事か分からず、母の応対に驚きと戸惑いを隠せないようだ。

その後雅さんが「天然だから気にしないで」と苦笑いしてフォローしていた。

母や雅さんが喜んで迎えてくれた事で辰次郎さんも緊張する事なく雅さんの握るお寿司を食べ楽しい時間を過ごせた。

帰りの車で辰次郎さんは

「美貴野、俺がオカマを仕事にしてるって話していたんだな？」

「うん！ツケマお化けに恋したって話しておいた。」

「でも、もうツケマお化けにはならないけどな！」

「えーたまには良いじゃない！ツケマお化けになってよーあっ帰ったら私が綺麗にお化粧してあげる」

「馬鹿か…」






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