ツケマお化けに恋して
翌朝目を覚ますと頭が痛い…


「あれ…私どうやって帰って来たのかな?…」


辰次郎さんのお店に行ってシャンパンでお祝いしてもらったのは覚えてるけど…後の記憶がない…飲み過ぎたようだ。


「ヤバイ!ぜんぜん覚えてない……」


ピンポンーピンポンー♪チャイムが鳴った。

チャイムの音も二日酔いの頭には響く…


「イタイ… 誰だろう?」


私は、右手でこめかみを抑えながら左手でドアを開けるとミチル姿の辰次郎さんが立って居た。


「ぉはよぅ…辰次郎どうしたの?」


辰次郎さんはムッすとして機嫌が悪そうだった。


「辰次郎じゃなくてミチルよ!それよりあんた昨日飲みすぎよ!ほどほどにしろって言うのに聞かないんだから!どうせ二日酔いでしょ?!はい味噌汁作って来たから飲みなさい!それからこれ、二日酔いにはラルマッタ効くわよ!」


ラルマッタ?私の知ってるのはソルマ……


「ひょっとして……辰次郎、昨日送って来てくれたの?……」


「ミチルよ!仕方ないでしょ本当に世話が焼けるったらないわヤーねぇ〜」


まさかと思って聞いた事だがあっさりと肯定されてしまった。

ミチル姿の辰次郎にどうやって送って貰ったのだろうか?おぶられて?それとも担がれて?まさか抱き抱えられて?……嘘……ツケマお化けにお姫様抱っこなんてありえないから…

ツケマお化けにお姫様抱っこされてる自分の姿を想像してしまった私は二日酔いで頭の痛いのを忘れて頭を振って頭から追い出そうとした。


「アイタタタ……すいません…お世話お掛けしました」


色んな意味で頭が痛い。

私は小さくなって頭を下げた。


「あんたさぁ別れた男に未練がないなら堂々と結婚式出てやったら良いんじゃないか?」


あれ?辰次郎さん自声に変わってますよ?ってか私、辰次郎さんに稔の事話したの?

あっちゃー……覚えてないと言うのは本当に恐ろしいものだ。

さらに頭が痛くなるよ……


「それからあんた軽すぎるぞ!ちゃんと飯食えよ痩せ過ぎると乳も垂れてくるからな!」


「な…なによスケベ!」


「乳が垂れてると男も寄ってこないぞ気を付けろよ!じゃーな!」


「煩い!」


辰次郎さんは味噌汁の入った鍋とラルマッタを置いて帰って行った。



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