ツケマお化けに恋して

「よっ!お疲れ」と机の上にトンと紙袋が置かれた。

パソコンの画面から顔を上げるとそこにはスーツ姿の稔が立っていた。


「みの…木村君…どうしたの?」


思わず下の名前で呼びそうになり慌てて呼び直していた。


「ちょっと上に呼ばれてね…忙しそうだな?」


「まぁ締め切り近いからね」


稔に会っても何の感情も湧いてこない。

付き合う前の同期の仲間として話していられる自分に少し驚いている。


「これ大阪土産」


紙袋の中に入ってる箱を取り出すと…

〘たこ焼きまんじゅう食べてんか!〙

なんじゃこりゃ?さすが大阪…


「ねぇーこれ美味しいの?…」


「しらんがな!」と稔は関西弁で言い笑う。


「……」


大阪かぶれが…


「恵美ちゃんみんなに出してあげて」


「はーい頂きまーす」


恵美ちゃんに今貰った大阪土産を渡すと恵美ちゃんは給湯室にお茶を入れに行った。


「美貴野ちょっと出れるか?」と稔は小さな声で聞いた。


「うん…少しなら」


締め切りに追われているが私も頭の中をリフレッシュしたかったので少し外に出る事にした。





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