ツケマお化けに恋して

大晦日　



「美貴野、起きなさい！」と母に揺り起こされる。

「どうしたのよ？今何時？」と眠たい目をこすりながら母に聞く。

「４時よ！」

「……勘弁してよ！…さっき寝たばかりじゃない…もう少し寝かせてよ……」と私は布団を頭までかぶる。

「行くわよ！もうすぐ雅君も来るから美貴野も支度しなさい！」

訳の分からないことを母が言うので私は母がボケてしまったのかと心配になり、私はベットの上に起き上がるとお母さんに向き合い顔を見て聞く。

「お母さん？何言ってるの？なんで雅さんがこんな早くに来るのよ?!」

「今から市場に行くのよ！雅君が乗せて行ってくれるの！早くに起きて支度しなさい」

嘘でしょ？なんで大晦日に市場に行くのよ？冗談じゃないわよ……

うちは一般家庭だっつうの……

ましてや二人で食べる量なんてたかがしれてるじゃん！

わざわざ市場に行かなくてもいいでしょ！

その時母のスマホがなる。

「もしもし、雅君おはよう。うん❣すぐ行くから待ってて」

マジですか？……

私は母に急かされ着替えを済ませ顔を洗い髪を1つに束ねるとノーメークのままダウンジャケットを着る。

玄関を出るとアパートの下には双葉寿司と名の入ったバンが停まってた。

雅さんの車には助手席に20歳そこそこの男の子が乗っていた。

母と私は後部座席に乗り込むと「おはようございます」と挨拶をした。

雅さんは「美貴野ちゃん久しぶりだね？元気だった？たまにはうちにも顔を見せに来てよ」と言って車を発進させた。

雅さんは全然変わっていないようだ。

「はい！有難うございます。いつも母がお世話になってすいません。ご迷惑かけてませんか？」

「迷惑じゃないけど、まぁ天然は変わらないよ」と笑う。

やっぱり……

「あっこいつ進歩（すすむ）今、うちで修行中なんだ可愛がってやって」

「よろしくお願いします」と少し頭をさぜて挨拶してくれた。

すると母が「ねぇ？イケメンでしょ？私がもう20歳も若かったらねぇ？」と少しがっかりして言う。

その母のがっかりに私ががっかりすよ！