ツケマお化けに恋して
出社するといつもと変わらない皆んなの顔を見るとホッとする。

「明けましておめでとう。今年もよろしくね!早速会議始めるよ!」

「はーい」

再来月は【La lune】創刊から1年になる。

いつもより特別な物にしたい。

皆んなも私と同じ思いだったようで、良い会議内容だった。

「じゃーこれで行こう!」



会議を終え各々自分の仕事を始める。

私もパソコンに向かうが思うように進まない。

頭を抱えていると宏海が私のデスクの前に立つ。

「美貴野、手が止まってるけど困ってる?」と笑う。

「困ってるに決まってるでしょ!」


ほんの3時間前…私は出社すると部長に呼ばれた。

「部長、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と新年の挨拶をした。

「おめでとう、今年も俺の出世の為に頑張ってくれ」とお腹を擦って笑う。

大きかったお腹はまた一段と大きくなってるようだ。

「部長の出世の為になるかは分かりませんが頑張ります」

「ところで鈴木はうちの広報向日葵があるの知ってるか?」

勿論知っている。以前は広報誌として作られていたが今は経費削減でパソコンから見る事が出来る様になっている。

毎月広報部が作っているもので役員のくだらない自慢話や新入社員の紹介、社員の結婚、出産、退職などが載せられている。新入社員の頃は目を通していたが今は全く見ていない。


「知っていますがそれが何か?」


「それに鈴木を取り上げたいらしいんだ」


「えっーどうして私なんですか?」


そんなの冗談じゃない!


「まぁ鈴木は今や時の人だからな!いきなりあれだけの実績を出したんだ広報に取り上げたくもなるだろうよ!」


「嫌です!お断りします。実績を出したと言っても私一人の力じゃないですから」


「鈴木を取り上げるのは社長の提案なんだよ!だから断れない。まぁ頼むよ1週間で原稿書いてくれ内容は任せるそうだ」








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